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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)539号 判決

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人満園勝美の上告趣意は別紙記載のとおりである。

論旨は要するに、訴訟に関する手続は、憲法第七七条によりすべて最高裁判所規則で定めるべきものであって、法律で定めるべきものではないのであるから、法律をもって規定した刑事訴訟法は憲法に適合しないものであり、原判決がこの法律を適用したことを以て違憲であると主張するに帰する。然し、法律が一定の訴訟手続に関する規則の制定を最高裁判所規則に委任しても何等憲法の禁ずるものでないことは当裁判所の判例の示すところである(昭和二四年(れ)第二一二七号、同二五年一〇月二五日大法廷判決、昭和二五年(れ)第七一八号、同二六年二月二三日第二小法廷判決参照)。そして右判例が、法律により刑事手続を定めることができるものであることを前提としていることはいうまでもないところである。従って、刑事訴訟法が適憲であることも亦おのづから明らかであるといわなければならない。論旨は理由がない。その他記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同法四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

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